フジツボを育てる

現在、青森県の陸奥湾ではミネフジツボの養殖が行われていますが、生産量はごく極僅かです。海の中でホタテの殻に幼生を付着させるため、不均一な形状となり、管理が困難であることが、養殖生産が増えない原因であると言われています。

我々、八戸学院「『食べるフジツボ』研究プロジェクト」では、北里大学、愛媛大学、青森県栽培漁業振興協会・岩手生物工学研究センターらの協力を得ながら、新しいフジツボの養殖技術の研究開発を行ってきました。その研究成果として、水槽内でフジツボの幼生を育成し、人工的な板の上で整列して付着させることが可能となり、特許を取得しています(特許第4813608号「発明の名称:フジツボの養殖方法、及びその方法で得られる底面が平面状のフジツボ」)。
この技術により、養殖業者のフジツボの管理が容易になると同時に、塊ではなく、個体毎の流通販売が可能となります。しかしながら、ミネフジツボの幼生を水槽内で安定的に育成する技術に課題を残しており、現在も実用化を目指した研究開発が継続されています。

人工基板に整列して付着させて育成したフジツボ。基板を捻ることで、個体毎の収穫が可能となる。
人工基板に付着させたミネフジツボの養殖試験。量は僅かですが、岩手県大船渡湾の海中に垂下し、1年半~2年で食用サイズになることを確認した。